「土」って食べられるの? そんな文化ってあるの? そう思った人も多いのでは?
じつは、古くから世界各国で、土を食べている人種や、文化があったことがわかっています。それが現在も続いている場合も。
では、どうしてそんな文化が生まれたのでしょうか?
世界各国の「土食」の文化ついて、紐解いてみることにします。

「土」を食べる文化がある国はどこ?

  • アフリカ大陸

アフリカの農村地帯では、現在も行われているといわれている土を食べる「土食文化」。
エリアも広く、アフリカのサハラよりも南のエリアで、西はギニア湾、東はインド洋あたりまで土を食べる風習があるのだそうです。研究によると、この風習は自然環境の中で生まれた生活の知恵で、65種類以上の人体に必要なミネラル成分が含まれた土を食べることで、下痢、コレラなどの疾病を治すともいわれていたそうです。

また、その食べる土も限定的で、地層を掘り、数メートルの深さから取り出した赤色の土壌を用いて、不純物を取り除き、水を加えて適当な硬さにして細くて長い棒の形にする、それをナイフで適当な長さに切って火で炙り乾かし、土の中に含まれる病原菌を殺し、食べられる状態にしています。
現在も行われているものの、都市部ぼ医療発達と、土を探すことが難しくなり、その文化も減ってきています。

  • ハイチ

貧しい人々の間で、ショートニング、塩、時に砂糖などを少量混ぜた泥粘土を、パンケーキやクッキー状にして天日で干した食べ物が
「bon bon de terres」(土のボンボン)と呼ばれ、売られています。

  • マレーシア

一部の妊婦らは、胎児の順調な成長と安産を求めて粘土を食べます。

  • ベトナム

土を網で焼いて客をもてなす習慣があるそうです。

  • インド

一部では、新しく作られた粘土製のティーカップに茶を注いで、
それを飲み干した後、そのティーカップを食べたり、シロアリの巣に行って、
時々蜂蜜を加えて、シロアリと一緒にその土を食べるなどの風習があります。

  • フランス

フランスの料理には、山の土を煮込んでルッコラの根を添えたシンプルな料理もある。

  • アメリカ(先住民)

その昔、ネイティブアメリカンは、特定の食べるための土を
イワーキー(Ee-Wah-Kee=癒しの土)と呼んで、疲れ果てた心を癒すために食べていました。蒸したり炒ったトウモロコシに、粘土、種子、ハーブなどをまぶして
食べることもあるのだそうです。

  • 日本(アイヌ民族)

アイヌ民族は、ケイソウ土を(アイヌ語でチエトィ「我らの食べる土」の意) 百合の根や、タデ、ウドなどを潰して加え、油を加えて食べていたこともあります。また、そのほかにも、加藤清正が建てた当初の熊本城は、籠城戦を想定し、土壁にカンピョウや、芋がらをつなぎに塗り込めケイソウ土が用いられていました。

「土」を食べるのは異食症?

医学では、異食症や、土食症とよばれる病名があります。
前者は、土や紙、年度、氷、チョーク、木炭など、栄養価のないものを好んで食べる症状のことです。また後者は、土に限定されたものですが、多くの場合、小児と妊婦に見られます。前者と後者は似ているものの、後は理にかなった説明ができます。

元来、土には豊富なミネラルが含まれています。
土食症は、亜鉛や鉄分が不足して、味覚異常を起こした際に発症しやすい行動のひとつであることが科学的に明らかになりつつあります。つまり、成長期の小児や、命を育てる妊婦が、ミネラル不足によって、衝動的に土を食べると捉えることが自然だと考えられています。

チンパンジーのマラリア対策に「土食」?

チンパンジーの研究で、ある注目すべきことが取り上げられたことがあります。それは、『Naturwissenschaften』誌に掲載された論文の中にまとめられています。それによると、ウガンダのキバレ国立公園のチンパンジーたちを観察したところ、チンパンジーが土を食べるのは、マラリア原虫を殺す成分を含むことで知られる植物を食べた直前か直後であったとか。

これらの葉のサンプルを採取し、単独で混ぜ合わせたものと、採取した土とともに混ぜ合わせたものを用意し、それぞれを消化器系を模した実験装置に置いたところ、葉のみでは何の薬効も現れなかったのに、土と葉を合わせたものは強力な抗マラリア性を発揮したというのです。

この結果は、人が土を食べる文化が誕生した理由にもつながるのでは?として、注目されているのです。

 

地上の生物に必要なミネラルが「土」に。

地上の生物のほとんどが大地から生まれています。多くの元素で満たされた土は、まさに生命の根源です。実際に、紹介してきたように、土を食する習慣・文化は世界中で古くから存在してきました。そして現代では、そこには、大きな意味があるのだということに気がついた人はどれだけいるでしょう。